02.くすぐる
「背後からいきなり近づいてきたと思ったら何しやがる!」
「あ、痛ー! ヒドッ! か弱い女の子にひじ鉄するかフツーッ!?」
「誰がか弱いだ、くすぐんじゃねぇ! 服も掴むな!」
「いーじゃんそんぐらい。瑞貴のケチーッ!」
「ガキかテメーはッ!!」
* * *
「ナニやってるの? あれ」
首をかしげて尋ねる七瀬に、灰人は心なしか面白そうに答える。
「瑞貴の顔の筋肉ほぐすためだそうですよ」
ついさっきまで、十矢と歩がいたことをあわせて考えれば、その理由はよく分かる。花には見慣れていなかっただろう、人形のような彼を見てそうしたくなるのも仕方ないことだ。
「ナルホドね」
納得して、ポンと両手を叩きくすくすと七瀬は笑って。
「でもまあ、花ちゃんがいればそれだけで大丈夫だと思うんだけどね」
同意するように、灰人はかすかな笑みを浮かべながら紅茶の入ったポットを傾けて注いでいく。
賑やかにギャーギャーといい騒ぐ二人の声をBGMに、七瀬と灰人はまったりとティータイムを過ごした。
*Take.14(ワンコ編)で十矢さんと歩が帰った後くらい。 どなたか私に色彩センスくださいorz
2007/09/03 初出 【出雲奏司】